寝起きや睡眠時の体温が高くなる原因

ここからは、寝起きや睡眠時の体温が高くなる原因について解説します。主な原因には以下の2つが挙げられます。

  • 放熱により皮膚が温まっている
  • 自律神経の乱れ・更年期の症状などがある

それぞれの原因をくわしくみていきましょう。

1.放熱により皮膚が温まっている

体温は、以下の2種類に分かれます。

  • 皮膚温:体の表面温度
  • 深部体温:脳や内臓などの温度

生命を維持するために、皮膚温よりも深部体温の方が1℃程度高くなっています。睡眠時には、深部体温を下げるための放熱で皮膚は温まります。例えば、赤ちゃんが寝る前に手足が温かくなるのも、深部体温を下げようと放熱しているためです。

放熱した状態で体温を測ると、普段より体温が高くなる場合があります。自分の平熱を把握したい方は、朝と夜の2回体温を測ったり、いつも同じ時間帯に計測したりするようにしましょう。

参考:熱中症ゼロへ(日本気象協会推進)「熱中症について学ぼう:深部体温と熱中症」

2.自律神経の乱れ・更年期の症状

自律神経の乱れたり更年期の症状があったりすると、寝起きや睡眠時に高体温になるケースも少なくはありません。人の体は自律神経の働きによって、血管が拡張したり収縮したりして体温を調節しています。

しかし、自律神経の乱れや更年期の症状によって女性ホルモンであるエストロゲンが減少すると、血管の収縮・拡張が適切に行われなくなるのです。例えば、微熱やのぼせ、急な顔のほてりなどはエストロゲンの分泌量が減る閉経前後によくみられる症状だといわれています。

参考:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)「熱っぽい(自律神経失調症)」

睡眠時の体温を一定にキープする5つのポイント

寝起きの体温が高いという悩みのある方は、睡眠時の体温を一定にするポイントを押さえておきましょう。睡眠時の体温を一定に保てると、睡眠の質が高まるだけでなく、寝つきが良くなる効果も期待できます。

睡眠時の体温をキープする5つのポイントは、下記の通りです。

  • 無理のない範囲で寝室の温度を下げる
  • ヒーターや電気毛布はタイマーをセットする
  • 体内時計を一定にする
  • お風呂の温度をぬるめに設定する
  • 運動やストレッチは就寝3時間前までに終わらせる

それぞれくわしく確認していきましょう。

1.無理のない範囲で寝室の温度を下げる

寝起きの体温が高いことが気になる人は、寝室の温度を変えてみましょう。寝室の温度が高いと体内の熱を放出しにくくなるため、無理のない範囲で室温を下げることが有効な方法となります。室内の温度を下げることで、深部体温が下がりやすくなるのです。

深部体温が下がらないと寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりするため、室温は睡眠の質を左右する重要な要素ともいえます。寝起きの体温が高いことや寝つきの悪さに悩んでいる方は、無理のない範囲で寝室の温度を下げることを試してみてください。

2.ヒーターや電気毛布はタイマーをセットする

冬の寒い時期には、ヒーターや電気毛布を使う方も多いかと思います。しかし、ヒーターなどで周囲を加熱したまま眠ると、深部体温が下がりづらくなり睡眠の質が低下する恐れがあるので注意が必要です。

ただし、冷たい布団に入ることで目が覚めてしまい入眠に時間がかかる人もいるでしょう。そのような場合は、ヒーターや電気毛布を使いつつ、タイマーをセットしておくことをおすすめします。

入眠時には温かく、寝ついた頃に自動で切れる設定にしておけば、深部体温も自然に下がり睡眠時の体温を一定にキープすることにつながるでしょう。

3.体内時計を一定にする

睡眠時の体温を一定にするには、生活リズムを見直し、体内時計を一定にすることも大切です。睡眠の質が低い方や朝起きるのが苦手な方の中には、生活リズムが夜型になっている人も少なくはありません。

例えば、寝起きに体を動かすまでに時間がかかりがちな方は、まずは布団から出ることを意識してみましょう。目覚まし時計やスマートフォンなどを、布団から出ないと手に取れない位置に置いておくことも有効な手段です。

朝から夕方にかけて人の体温は徐々に上がりますが、規則性が乱れることで、寝起きの体温が高くなったり睡眠時に深部体温が下がりづらくなったりしてしまいます。

寒い時期は布団から出るのが億劫になることもあるかと思いますが、目が覚めたらできるだけ早く起きることを心がけましょう。起きたら白湯を飲むといった、体温を上げる工夫を朝の時間帯に取り入れることも効果的です。

4.お風呂の温度をぬるめに設定する

睡眠の質を高めるためにお風呂にゆっくり浸かることは効果的ですが、下記の2つのポイントには注意するようにしましょう。

  • お風呂の温度はぬるめに設定する
  • 就寝の2時間前までに入浴を済ませる

お湯の温度が高すぎると、寝る前になっても深部体温が下がりづらくなってしまいます。お風呂にゆっくり浸かる際には、38℃のぬるめのお湯で25~30分程度、半身浴をする際には約40℃のお湯で30分程度にするといいでしょう。

入浴のメリットとしては、手足の血行が良くなったりリラックス状態になりやすかったりすることなどが挙げられます。入浴時間を早めにすることで、夜の時間帯を心身がリラックスした状態で過ごせるため、眠りやすい状態を作ることにつながるのです。

5.運動やストレッチは就寝3時間前までに終わらせる

運動の習慣化は寝つきが良くなることにつながりますが、その時間帯には注意が必要です。就寝直前に運動やストレッチを行うと、深部体温が下がりにくくなります。深部体温が下がりにくいとかえって寝つきが悪くなり、睡眠の質が低下してしまう場合があるでしょう。

特に、ランニングなどといった本格的な運動は、就寝3時間前までに終わらせるよう心がけることをおすすめします。なお、夜の運動でおすすめの時間帯は、夕食後です。夕食後に軽くストレッチすると、副交感神経が優位になり体をリラックス状態にしやすく、深い睡眠につながるでしょう。

参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「快眠と生活習慣

適切な体温は快眠のヒント。睡眠環境を整えよう

今回は、寝起きの体温が高いことに悩む方向けに、体温が高くなる原因や要因について解説しました。寝起きの体温が高い方は、睡眠時も体温が高い可能性があります。睡眠時の体温が適温ではないと、睡眠の質が向上しません。体温は、寝つきの悪さにも関係しているのです。

寝る前の過ごし方を工夫することが、寝起きの高体温や眠りに関する悩みなどを解消することにつながります。ご自身の生活に合わせて、取り入れやすい方法からぜひ試してみてくださいね。

※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようお願いいたします。

目黒 真心

目黒 真心

フリーライター・コーチ・メンタルトレーナー|心理学卒、手帳とくま好き。元銀行員営業職。「穏やかな暮らしと心の伴走者」がモットー。

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