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最近、眠りが浅い気がする…寝る時にエアコンはつけてもいい?
夏は涼しく、冬は暖かく室内環境を保ってくれるエアコン。高温多湿かつ四季による環境の違いが大きい日本では、健康的な生活のためになくてはならない家電といえます。しかし寝る時のエアコンの使い方を間違えていると、睡眠の質が低下してしまう可能性もあるでしょう。
今回は、寝る時にぜひ取り入れたいエアコンの使い方をご紹介します。暖房・冷房それぞれの最適な使い方を学びながら、毎日の快適な目覚めを手に入れてくださいね。
就寝時に最適なエアコンの温度は?
寝る時に最適なエアコンの温度は冷房の場合は25~26℃、暖房の場合は22~23℃といわれています。一般的に暖かい空気は空間の上に向かいますが、部屋の機密断熱性能が高い場合は部屋全体が暖まりやすい傾向にあります。
エアコンを点けているのに部屋の空気が変わる理由は、部屋の外から冷たい空気や熱い空気が流れ込んでくるためです。エアコンの温度を適切に調整しつつ、体感温度も整える必要があります。寝具付近に温度計や湿度計を設置しておくと、環境が可視化され調整しやすいでしょう。
また室内温度と同様に整えたいのが、寝床内(しんしょうない)温度です。寝床内とは、寝る時の人間と寝具との間にできる空間を指します。快適な眠りに導くための寝床内温度は、約33℃程度だといわれています。快適な眠りのためにはエアコンだけではなく、寝具・寝巻・空間づくりも重要なのです。
【暖房編】快眠に導くエアコン利用時のコツ
ここでは、寝る時に暖房を利用する際のコツをご紹介します。エアコンは寒い季節を元気に過ごすために欠かせない家電ですが、使い方を誤ると体を崩してしまうことも。体に負担が少ない使い方を学び、明日に疲れが残らない睡眠を心がけましょう。
1.就寝の3時間後にタイマーが切れるよう設定する
寝る時に暖房を使う際は、本来は一晩中点けたままにすることが推奨されています。なぜなら就寝中に室温の温度が低下することで、自律神経の乱れや夜間の目覚めにつながってしまう可能性があるためです。しかし、朝まで点けっぱなしにすることに抵抗がある人も多い傾向にあります。
体の負担を最小限にするためには、就寝の3時間後にタイマーが切れるよう設定しましょう。体温の低下を防ぐために、湯たんぽや電気毛布などを併用することをおすすめします。また喉の乾燥を防ぐために加湿器を利用するのもよいでしょう。
2.就寝30分前から寝具や寝室を温めておく
寝室は暖かいはずなのに、布団に入ると「冷たい!」と感じた経験はないでしょうか。寝る時に暖房を利用する際には、就寝の30分ほど前から空間を温めておくことを推奨します。寝室全体に暖かい空気を行き渡らせ、寝具や寝巻も温めておくことで快適な睡眠に導かれます。
急激な温度の変化はストレスの原因になるものです。入眠時に寝具が冷えていると体が緊張してしまったり、思考が冴えてしまったりすることもあるでしょう。自然な睡眠のためには、空間と寝具の温度差を極力少なくすることが大切です。
3.起床1時間前にタイマーを再度オンにする
寝る時には暖房でポカポカでも、起きる時に寒いと朝からストレスがたまってしまいますよね。心地よい目覚めのためには、起床1時間前に再度暖房のタイマーをオンにすることをおすすめします。タイマーを点ける際、適温は20~22℃といわれています。
起床時に体温を温めておくことで布団から出やすくなるだけではなく、一日を快適に過ごせる効果も。体感温度を高くするために寝る時に掛布団や毛布を増やす人もいますが、寝返りが打ちにくくなることで睡眠の質が下がってしまう可能性があります。室温を調整し、無理のない範囲で快適な目覚めを目指しましょう。
参考:日本生理人類学会誌「起床時寝室温が日中の手掌皮膚温に与える影響」
4.加湿器で湿度を40~60%にサポート
寝る時の暖房の利用で、不安要素のひとつとなるのが乾燥ですよね。一晩中暖房を点けっぱなしにしていると、肌はガサガサ、喉はガラガラ……。体も脱水気味になり、起きた時から疲労感を抱いてしまいます。快適な就寝環境では、温度だけではなく湿度の維持も重要なのです。
寝る時の最適な湿度は、40~60%だといわれています。加湿器を使ったり濡れたバスタオルをハンガーにかけたりなどして、快適な環境をつくりましょう。加湿器は小型の商品であれば数千円程度で購入できますが、ペーパータイプのアナログな加湿器も人気となっています。
5.寒くなりすぎないように補助具を活用
寝る時に暖房を使う場合は、適切な寝床内温度である33℃をキープするために補助具を活用しましょう。湯たんぽや電気毛布のほかに、保温性能が高い靴下を履いたままねるのもおすすめです。ただし、体を温めすぎてしまうと熟睡が妨げられる可能性があります。
例えば寝床内温度が33℃よりも高くなることで、必要以上に汗をかいて不快感で目が覚めたり、深部体温が下がらずに眠気が訪れなかったりなどが挙げられます。人間は上がった体温が下がる過程で眠気を感じるため、補助具の一部にタイマーをセットするのもよいでしょう。
【冷房編】快眠に導くエアコン利用時のコツ
ここでは、寝る時に冷房を使う際のコツをご紹介します。熱帯夜の寝苦しさは日々の大きなストレスになりますよね。とはいえ、体を冷やしすぎると風邪を引いてしまうこともあります。最適な使い方を学び、爽やかな目覚めを目指しましょう。
1.クローゼット・押し入れを冷やしておく
「寝る時に冷房を点けても、実際に寝ようとすると暑くて苦しい」と感じたことはありませんか?その理由は、日中に熱をため込んだクローゼットや押し入れが原因かもしれません。冷房を点けて空間の温度を下げる際は、クローゼットや押し入れの扉を開けて中までしっかりと冷やしましょう。
暖房と同様に、就寝の30分前に寝室を冷やし始めることをおすすめします。特に昼間に日光が入る部屋では、壁・床・天井に熱がこもってしまっていることも。涼しい空気は上から下に下がっていく性質を持っているため、寝る時はエアコンの風を上に当てて冷やしていきましょう。
2.湿度が高い日は冷房よりもドライがおすすめ
夏は湿度が高くなりやすい季節です。寝る時に冷房を点けても蒸し蒸しする場合は、ドライの運用に切り替えてみましょう。エアコンのドライ機能は、部屋の中の水蒸気の量を減らす役割があります。
場合によっては、冷房の25℃よりもドライの27℃のほうが涼しさを感じられるケースもあるでしょう。雨や台風などで特に湿度が高い日は、エアコンと除湿器を併用することでさらに快適になります。特に梅雨の時期はドライで部屋を乾燥させることで、サラサラした布団の質感も長持ちします。
3.朝までつけて熱中症防止
暑さで寝苦しさを感じる日は、朝までエアコンを点けることで熱中症が予防できるでしょう。実は熱中症の約4割は、寝ている間に発症しています。夜間に重症化したことに気づかずに朝を迎えると、突然吐き気やめまいに襲われるケースもあるのです。
ただし寝ている間に体が冷えすぎると、血行不良が生じ体にだるさが残ることもあります。また人によって快適さを感じる温度は違うものです。体調によってタイマーやドライ機能などと使い分けながら、熟睡できる使い方を探していくことも大切です。
参考:医療法人正幸会 正幸会病院「睡眠中の熱中症にも気をつけて」
4.低めに設定し、就寝直前に快適な温度に上げる
寝る時に冷房を点ける場合は、あらかじめ温度を低めに設定しておきましょう。就寝する直前に快適な温度に上げることで、無理のない睡眠に導きます。
布団に入る前に寝室で寒さを感じると、深部体温が下がりづらく眠気が遠のきます。涼しい寝室に入り、布団で体温を上げつつ、冷房で室温が緩やかに快適な温度まで下がる、というサイクルを大切にしてくださいね。
体温変化に寄り添った「おやすみモード・快眠モード」を活用しよう
より快適な睡眠のためには、エアコンを点ける際に「おやすみモード」や「快眠モード」を活用しましょう。おやすみモード・快眠モードとは、体温変化に寄り添った温度調整をしてくれる機能です(メーカーによって機能の名称・性能に違いがあります)。
おやすみモード・快眠モードを使うことで、温風や冷風が直接体に当たらないように調整してくれ、温めすぎ・冷えすぎを防止できます。またメーカーや商品によっては、タイマーを設定することで自動でおやすみモード・通常モードに切り替えてくれる機能も。
おやすみモード・快眠モードでは、電気代が上がりすぎないよう風量のコントロールをしてくれる商品もあもあります。しかし、フィルターの掃除を怠っていると多くの電力を消費してしまうため、こまめな掃除も心がけてくださいね。
寝る時のひと手間で眠りの質を上げよう
今回は、寝る時のエアコンの使い方についてご紹介しました。
昨今のエアコンは、一昔前では考えられないほどの高性能が備えられています。しかしどれほどハイスペックなエアコンを購入しても、体に合った使い方ができなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。
一方でリーズナブルで機能が少ないエアコンでも、正しく使えば快適な睡眠をしっかりサポートしてくれるものです。今一度普段のエアコンとの付き合い方を振り返り、自分に合った使い方へと改善していきましょう。
※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。