寝だめの効果|睡眠不足を解消する寝だめの方法と注意点

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睡眠不足が続く…休日の「寝だめ」って効果はあるの?

十分な睡眠時間と良質な睡眠は、心と体の疲労を回復させるために重要な役割を持ちます。しかし残業や勉強などで忙しい日々が続いている人や、つい夜更かしをしてしまう人は、毎日の睡眠時間が不足しがちです。

不足した睡眠時間を補うために、休日に長時間寝る人も多いのではないでしょうか。人によっては、休日の寝だめに解放感やリラックスする感覚を抱いている人もいるでしょう。しかし、寝だめが続くと心身のバランスを乱してしまう可能性があります。

今回は、寝だめの意味や注意点、毎日の睡眠時間を安定させるための方法などをご紹介します。食事や運動と同じように、満ち足りた睡眠は健康の基本です。つい寝だめをしてしまう人はぜひこの機会に習慣を変え、健やかな日々を目指していきましょう。

参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書」

寝だめ(補充睡眠)とは

寝だめとは、不足した睡眠時間を長時間眠ることで補う行為です。そのため、寝だめの「ためる」というワードは「ためる」の本来の意味から考えると不適切といえます。あくまで睡眠時間を補う行為、と認識しましょう。

寝だめでは一時的に不足した睡眠時間がケアされ、疲労が回復します。しかし、2日分の睡眠時間を得たからといって、その後2日間寝ずに動けるわけではありません。

これは食事量を体内にためられない状態と似ています。2日分のカロリーを摂取したからといって、その後2日間何も食べずにいることは難しいですよね。

また寝だめは医療用語ではありません。一部の睡眠専門医は「補充睡眠」という言葉を使っているケースもあります。

参考:まいにちdoda「【睡眠専門医に聞いた】「休日の寝だめ」は意味がない?ビジネスパーソンの疲れを効果的にとる睡眠方法」

寝だめはできない!知っておきたい寝だめの注意点

ここでは、健康的な睡眠のために知っておきたい寝だめの注意点についてご紹介します。睡眠習慣を改善するためには、現在抱えている課題やリスクについて学ぶことが大切です。寝だめを続けることによるデメリットや注意点を知り、生活習慣の変化に役立てていきましょう。

1.人間の体は睡眠時間をためられない

人間の体は、睡眠時間をためられません。例えば1日の適切な睡眠時間が8時間の場合、丸2日徹夜した後に16時間の睡眠時間を設けたとしても、十分な睡眠時間を取れているとはいえません。休日に長時間眠るのではなく、毎日平均的な睡眠時間を設けることが大切です。

慢性的な睡眠不足は日中の眠気を生じさせるだけではなく、仕事や学業への意欲の低下や記憶力の減退などを引き起こします。また体内のホルモン分泌や自律神経機能にも悪影響を及ぼしてしまうこともわかっています。

参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「睡眠と生活習慣病との深い関係」

2.体内時計がどんどんずれてしまう

寝だめの習慣を繰り返していると、体内時計がどんどんずれてしまいがちです。人間の体には、24時間周期のリズムで昼夜の変化に同調する仕組みがあります。体内時計を正常に保つためには、毎日決まった時間に食事をしたり眠りについたりすることが大切です。

体内時計が乱れると理想的な時間に眠気を感じにくくなり、ホルモンの分泌や生理的な活動のコントロールもしにくくなってしまいます。どんなに健康的な食事をして適度な運動を取り入れても、毎日の就寝時間がバラバラの場合は体内時計が乱れ、心身に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「体内時計」

参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「快眠と生活習慣」

3.毎日安定した睡眠時間を確保することが大切

健康的な心身を保つためには、寝だめをするのではなく毎日安定した睡眠時間を確保することが大切です。私たちは一人ひとり、それぞれの理想の睡眠時間を持っています。自分に合った睡眠時間は生まれたときから決められており、他人と比べるものではありません。

一般的には、10歳代で8~10時間、成人以降50歳代までは6.5~7.5時間、60歳代以上で6時間弱の睡眠時間が理想的といわれています。また疲労を回復するためには睡眠時間を確保するだけではなく、睡眠の質自体を底上げしていく工夫が求められるでしょう。

参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書」

寝だめにはメリット・効果はある?

忙しい日々の中「平日の寝不足は休日の寝だめで解消したい」と思っている人は多いかと思います。しかし残念ながら、寝だめにはポジティブな効果やメリットはほぼありません。寝だめを続けていくと体内時計やホルモンの分泌が乱れ、体調不良を招く可能性が高いといえるでしょう。

しかしストックホルム大学の研究チームによると、平日にある程度の睡眠時間さえ確保していれば、週末に長時間の睡眠時間をとっても死亡リスクが上がらないことがわかっています。寝だめならではのメリットとはいえませんが、日々の基本的な生活習慣が大事であることがわかります。

また週末に時間に縛られずにたっぷり睡眠を得られた場合、人によっては精神的なストレスが解消される可能性もあるでしょう。寝だめ自体の効果は不確実ではありますが、寝だめによって心が癒され、平日へのモチベーションに変換されるケースがあります。

参考:PubMed Central「Sleep duration and mortality – Does weekend sleep matter?」

寝だめで睡眠時間を確保している人は「睡眠負債」に要注意

休日の寝だめで普段の睡眠不足を補っている人は、睡眠負債に注意する必要があるでしょう。睡眠負債とは、睡眠不足の蓄積により心身にさまざまな不調が生じることです。以下に、睡眠負債によって起こり得る心身のトラブルの例をご紹介します。

  • 日中の眠気
  • 意欲低下
  • 記憶力減退
  • 心身の疲労がリセットされない
  • 食欲の増大
  • 生活習慣病のリスクの増大
  • 事故やけがの可能性が増える

心の疲れがリセットされないとイライラしやすくなり、周囲と円滑なコミュニケーションが取りにくくなることもあります。精神的に余裕がなくなり、重大な事故やトラブルを発生させてしまう可能性も増えるでしょう。

参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「睡眠と生活習慣病との深い関係」

参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書」

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フリーランスwebライター/ボーカリスト。パニック障害やうつ病を患った経験を活かし、悩みを抱える方の心を暖められる記事をお届けします。得意分野はメンタル/恋愛/ペット。月と星と花と猫が好き。

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