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自分の性格に、生きづらさを感じる…
自分の行動が他人にどう映るか気になって仕方がない、周囲から浮いていないか不安……そんな生きづらさを感じることはありませんか。実は、その生きづらさは自意識過剰が原因かもしれません。
「自意識過剰」と聞くと、ナルシストで自信がある人物を想像しがちですが、つねに周囲の目が気になる人も自意識過剰と呼ばれます。周囲の人がいつも自分を見ているような気がして、悪目立ちしていないか不安になったり、人前に出ると緊張したりすることも。
本記事では、自意識過剰を引き起こす原因と治す方法を解説します。
周囲の目や人の評価が、どうしても気になる…
自意識過剰な人はいつも周囲の評価を気にしているので、心が休まらず生きづらさを感じてしまいます。他人の評価を気にしすぎると「話した後、ずっと一人反省会をしてしまう」「近くで笑っている人たちが、自分を笑っているように感じる」など、自意識過剰な気持ちになってしまうからです。
自意識過剰になると、何をするにも人に見られているような気がして緊張してしまい、思うように行動ができなくなることもあります。
自意識過剰の意味とは
デジタル大辞林によると、自意識過剰を「他に対する自己を意識しすぎること。自分が他人にどう見られるかを考えすぎること。また、そのさま。」と意味づけています。
自意識過剰と聞くと自己愛の強いナルシストのイメージですが、人見知りやあがり症も「自分が他人にどう見られるかを考えすぎること」なので、自意識過剰に当てはまります。自意識過剰になると他人に見られている自分を強く意識してしまい、本来の力が発揮できなくなることも。
ほかにも、自分の服装が周囲から浮いていないか心配になったり、会話の後で「言い過ぎたかな」「悪い意味に捉えられていたらどうしよう」などと長時間ひとりで思い悩んだりしてしまうのも、自意識過剰が原因です。
自意識過剰の主な原因とは?
行き過ぎた心配は自意識過剰を引き起こします。人前でうまく話せなくなったり、一人反省会を延々と続けたりと、つらい思いをするかもしれません。自意識過剰の原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
1.人と比べられて生きてきた
小さい頃の家庭環境が原因で、自意識過剰になる場合があります。兄弟やほかの家庭の子と比較されて育つと、周囲の反応が気になって自意識過剰になってしまうのです。
人と比べられるときは、「お兄ちゃんはよくできたのに」「ほかの子は静かにしているよ」のように、ネガティブな声掛けが多いもの。人と比べられるうちに「自分はだめな子なんだ」と自分に自信が持てなくなってしまいます。
いつも他人の期待に応えられていないような気がして、どんどん自己肯定感が下がってしまうのです。つねに周囲と合わせようとしたり、他人の顔色をうかがったりして、自意識過剰が引き起こります。
参考:東洋経済オンライン「他人と「比べる病」が親子にもたらす深刻な影」
2.成功体験が少ない
自信がない姿を見られるのが嫌で、自意識過剰になることもあります。何かを達成した成功体験が少ないと、なかなか自信を持てません。「どうせできない」「やっても無駄」と決めつけてしまうので、自分から行動することが減ってしまうからです。そのため、ずっと成功体験が得られずネガティブな状況が続いてしまいます。
自信が持てず自己肯定感が低いため、いざ自分から行動しようとすると「失敗したらどうしよう」「自分なんかがこんなことを始めて、周囲に笑われるのではないか」と自意識過剰な考えが浮かんでしまいます。
3.幼少期、両親から愛された経験が少ない
愛された経験よりも叱られた経験が多い幼少期を過ごすと、周囲の顔色をうかがうのが当たり前になってしまい、自意識過剰になることも。
「どうしてできないの」と必要以上に叱られたり、他人と比較されて「ほかの子はできているのに」とマイナスの言葉をかけられたりすると、自己肯定感が下がってしまいます。自己肯定感が低いと自分で自分を評価できず、自意識過剰になってしまうのです。他者から受ける評価で自分を判断するようになり、いつも周囲の目を気にするようになります。
また、「こうならなければならない」「こうしなければならない」という思いが強く、できないと必要以上に絶望してしまうのです。
4.完璧主義
完璧主義な人は自分の失敗を大ごとに捉えがちで、一度失敗すると立ち直れなくなってしまいます。「失敗した自分の姿を他人が笑うのではないか」「内心は馬鹿にされているのではないか」と自意識過剰なマイナスの想像をしてしまうのです。
完璧な自分しか認められないので、自己肯定感が低いのも完璧主義の人の特徴です。せっかく努力しているのに、失敗ばかりに注目してしまいます。
治したい!自意識過剰を治す方法
自意識過剰を治したいと思っても、他人の目が気になるのはなかなか治りません。たとえ周囲の人から「気にしすぎ」「大丈夫だよ」と言われても、なかなか自意識過剰は治せないですよね。「他人を気にしないようにするぞ」と思っても、かえって他人を意識してしまい、逆効果になることも。
大切なのは、自意識過剰を引き起こす自分の意識を変えていくことです。ここからは、自意識過剰を治すための5つの意識の変え方をご紹介します。
1.完璧な自分を求め過ぎない
完璧主義をやめるのが自意識過剰を治すことにつながります。
完璧な人間なんて存在しません。どんなにすてきな人でも、実はミスをしたり、誤って他人に迷惑をかけていたりするものなのです。そして、完璧でないことは決して悪いことではありません。
反対に「完璧な自分しか受け入れられない」と、自分のことを認められずに落ち込んでしまいます。どんなにがんばっていても、小さなミスが許せないので、すべてが失敗したかのように感じてしまうのです。
完璧主義はやめて、ありのままの自分を受け入れてあげましょう。もちろん完璧主義である自分を責める必要もありません。自分が思ったこと、やりたいこと、すべて受け入れれば良いのです。自分で自分を肯定できるようになると、周囲の目が気にならなくなるでしょう。
2.人の評価で自分を判断しない
「他人に評価されたい」承認欲求は誰しもが持っています。しかし、他人の評価を自分自身の価値と思いこんでしまうと、自意識過剰になって生きづらさを感じるでしょう。自意識過剰を治すには、他人が見ているのは、仕事や学校の成績のようにあなたのほんの一部分でしかないと理解しておくのが大切です。
他人の評価は、自分ではコントロールできません。自分でどうにもできないことに依存すると、心が疲れてしまいます。他人が自分を高く評価したからといって、自分の幸せが保障されるわけではありません。他人の評価は参考程度にして、自分が理想とする生き方が目指せるといいですよね。
3.自分の長所を認める
自意識過剰を治すには、他人の目を気にしなくなるくらいの自己肯定感を持つのが大切です。自分の長所に気づき、認めてあげることで自己肯定感を得られます。
自分の長所に気づく方法としては、紙に書き出すことが効果的です。「短所は思いつくけれど、長所はなかなか思いつかない」人でも心配ありません。言い換えのテクニックを利用しましょう。言い換えのテクニックとは、短所を書き出してプラスの表現に言い換えることです。短所の見方を変えるだけで、自分の隠れた長所に気づけるようになります。
4.自分と他人を比べない
他人との勝ち負けによって自分の価値を感じることは、自意識過剰を治すために思い切ってやめてみましょう。たとえ他人より優れているところを見つけられても、相対的な評価は簡単にゆらぐものです。いつも他人と比べて優越感や劣等感を抱くので、疲れてしまう原因になります。
なかなか比べるのをやめられないなら、趣味に没頭するのがおすすめです。他人の目が気にならないほど集中してしまえば、比べることもないからです。まずは一人でできて、上達度を他人と比べられないような趣味が良いでしょう。美術鑑賞や読書など、目の前の作品に没頭する趣味がおすすめです。
5.自己関連付けするのをやめる
自己関連付けとは、ネガティブなことを自分に関連付けて、責任がすべて自分にあるように感じてしまう認知のゆがみのことです。
「街ですれ違うときに自分が笑われていると感じる」や「一緒にいる人が黙ると、自分のせいで不機嫌になったのではないかと心配になる」というのも、自己関連付けです。
実際は昨日のテレビの話題で笑っているかもしれないし、一緒にいる人はただ黙って考え事をしているだけかもしれないのに、自分に原因があるように思い込んでしまうのです。
自意識過剰による自己関連付けを治すには、実際に起こったことと、自分の想像の部分を切り分けるのが大切です。
参考:日野市の心療内科、こころクリニック「よく見られる認知の誤り」
自意識過剰とは、自分が周囲の人に気を配っている証拠
自意識過剰な人は、自分の行動が他人にどう影響を与えるのかをいつも気にしています。そのぶん、人のことをよく見ているのです。「こうしたほうが喜ばれるかな」と想像力を働かせて気配りができる、すてきな性格でもあるのです。
ただ、あまりにも周囲を気にしすぎると生きづらさを感じてしまいますよね。少しだけ気にするバランスを変えれば、自分も周囲も喜ばせることができるはずです。心配ごとのほとんどは、現実では起こりません。あなたが考えている以上に、あなたは自分のために行動しても良いのです。
自意識過剰な自分を責めすぎず、気配り上手な長所としてポジティブにとらえてみましょう。本記事でお伝えしたことが、少しでもあなたの生きづらさを減らし、楽しい人生を歩めるように役立てば幸いです。
※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。