この記事を監修してくれたのは…
目次
ストレスが溜まっているかも…
現代はストレス社会であり、ストレスとは切り離せない関係にあります。なぜか気力がわかない。なんとなく体がだるい……など、ふとしたことでストレスを自覚する方は多いでしょう。
また、コロナ禍による不安はまだまだ続いています。外出自粛やテレワークの継続、マスク着用など感染対策は引き続き行われています。テレビや雑誌などで「コロナ鬱」「コロナストレス」「コロナ疲れ」という言葉をよく見聞きするようになりました。
コロナ禍による日常的な孤独感が増したことで、困ってもすぐに人に相談できない状況が続いています。
本記事がストレスへの適切な対処方法を知る手がかりになれば幸いです。
専門家が教える!ストレスの定義とは
「最近、ストレスがたまってる」といった言葉はよく耳にするでしょう。ストレスは、もともと物理学用語で「物体の歪み」を意味します。例えば、ゴムボールは押すと歪みます。この歪んだ状態が「ストレス」なのです。
ストレスという概念を医学の分野に取り入れ提唱したのは、生理学者のセリエ博士です。外からの刺激に体や心が反応することを「ストレス反応」と呼び、生じさせる刺激のことを「ストレッサー」と呼んでいます。
ストレス反応は、体や心を守るための安全弁でもあります。ストレス反応があることで、私たちは、ストレッサーが自分にとって脅威であると気づけるのです。
参考:大阪がん循環器予防センター ストレスについて -ストレスとは?ストレスと病気の関係について-
ストレス(ストレッサー)の種類
日常生活で遭遇するさまざまな出来事がストレッサーとなります。コロナウイルス感染症への予防や対人関係、日常的な騒音まであらゆるものがストレッサーなのです。
ストレッサーは大きく分けて4つに分類でき、1つのストレッサーによるストレス反応だと思えても、実はいろいろなストレッサーが重なり合った結果によるストレス反応ということもあります。そのため、どのようなストレッサーがストレス反応に影響しているのかを知り、対処できそうなストレッサーに働きかけることが重要です。
1.生物的ストレッサー
生物的ストレッサーには、生理的な状況の変化が関係します。細菌・ウイルス感染や、肉体・精神的疲労、健康障害などが該当します。カビや花粉なども含まれます。
細菌・ウイルス感染への適切な知識を身につけ、予防などによって軽減可能です。肉体・精神的疲労は、意外と気づかないことが多いため注意が必要です。また、生活習慣を見直し、健康障害を減らす工夫をしましょう。
2.心理的ストレッサー
人間は他の動物とは違い、現実に遭遇していない出来事であっても「〜するかもしれない」「〜したらどうしよう」と想像する生き物です。場面に応じていろいろなことをイメージしますが、内容によってはストレッサーとして作用してしまうことがあります。
例えば、会社で挨拶をしても返事がなかったときに「嫌われているのかな」と考えるのと「聞こえなかっただけかもしれない」とでは、その後に生じる感情の種類が変わってきます。
否定的な予期や評価をすることで不安や緊張、恐怖といったストレス反応を引き起こしやすくなるのです。
3.化学的ストレッサー
化学物質や金属、アルコール、タバコ、薬物、食品添加物などが該当します。化学物質は室内の空気環境(酸素欠乏)などにも含まれ、目や喉へ刺激を与えます。
匂いにも注意が必要です。制汗剤や香水、カップラーメンなどの食品の匂いもストレッサーとなりうるからです。他にも、がん治療などに用いられる抗がん剤もストレス要因となります。
4.物理的ストレッサー
暑さや寒さ、騒音や光など物理的な環境刺激が該当します。エアコンの温度が暑すぎる・寒すぎる、太陽や照明が眩しすぎる・暗すぎる、オフィスや学校がうるさすぎる、静かすぎるなどです。パソコンやスマホのブルーライトなども含まれます。
特に、寝室の環境は眠りに直接影響します。冷房が強すぎないか、照明が眩しくないか、スマホを見過ぎていないかなどよく注意しましょう。
ストレスが体に及ぼす影響
ストレッサーによるストレス反応として、代表的なものに「自律神経の乱れ」があります。自律神経が乱れると、体にさまざまな不調が起こります。
不眠、頭痛、肌荒れなど、全て自律神経の交感神経が優位になることで起こります。そのため、交感神経を副交感神経に切り替え、リラックスモードにするのが大切なのです。
1.不眠
日中ストレスを感じると頭や体が覚醒状態となり、寝付きが悪くなります。就寝前はパソコンやスマホを触らないようにし、覚醒作用のある酒やタバコなどの嗜好品は控えましょう。
湯船につかったり、音楽を聞いたりとリラックスすることで、体と心の緊張をほぐしましょう。
2.頭痛
代表的な頭痛に、脳の血管が広がって痛む「片頭痛」と、頭の周りの筋肉の収縮により起こる「緊張型頭痛」があります。
ストレスを受け自律神経が乱れると、交感神経が優位となり血管の収縮が起こります。その際、片頭痛が発生するのです。
緊張型頭痛は、長時間のパソコン操作や座り仕事など同じ姿勢を取り続けている人に起こりやすいです。血流が悪くなり老廃物が筋肉に溜まると、周囲の神経が刺激されて痛みが生じます。
3.肌荒れ
ストレスを受けて自律神経が乱れると、交感神経が優位になります。それに伴い、血管の収縮や覚醒反応が起こります。肌のターンオーバーも乱れ、健やかな肌が保ちにくくなるでしょう。
女性の場合、ストレスを受けると、男性ホルモンの分泌が増え皮脂量が増加します。ベタつきを感じやすくなり、ニキビができやすくなるでしょう。
また、ストレスを受けるとコルチゾールというホルモンが分泌されます。過剰に分泌されると、肌に潤いを与えバリア機能を維持する「セラミド」を分解してしまいます。
4.自律神経の乱れ
ストレスを「脅威」と感じると、私たちの体はストレスに対処するために交感神経が優位となります。一時的であれば良いのですが、慢性的にその状態が続くと、さまざまな不調が起きてしまうのです。
自律神経がバランスを崩すと、胃や腸の働きが鈍くなります。進行すると胃炎や過敏性腸症候群になるので注意しましょう。不眠や頭痛、めまいや吐き気、体のだるさなども起こりやすくなります。