レジリエンスの意味とは?|レジリエンスの効果&高める6つの方法

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この記事を監修してくれたのは…

心が折れた時、挫けた時に立ち直る力が欲しい…

人生の中で困難に直面し、心が折れてしまってなかなか立ち直れないこともあるでしょう。そんなときにもう一度立ち直り、前に進む力が欲しいと思うことはありませんか。

「心が折れてしまってもすぐに立ち直ることができる人と、立ち直ることができない人との違いはいったいなんだろう」と考えるときにヒントになるのが、「レジリエンス」という考え方です。今回はこのレジリエンスについて解説します。レジリエンスとは何なのかを知ることで、今後の人生をしなやかに生きて行くヒントを掴んでいきましょう。

レジリエンスの意味とは?

「レジリエンス(resilience)」を辞書で調べると「はね返り、とび返り、弾力、弾性、(元気の)回復力」とあります。言葉の意味としては元に戻ることを指しますが、精神医学、心理学の分野では「さまざまなストレスなどにより精神的に疲弊しないように、しなやかに適応して乗り切る力」として使われるようになっています。

2013年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「レジリエント・ダイナミズム」が中心的なテーマとして扱われてレジリエンスというキーワードがクローズアップされました。世界経済が、さまざまなリスクに対して柔軟に、そして迅速に対応することを可能にするレジリエンスが必要だとされたように、人間のメンタルケアにもさまざまな困難に適応するレジリエンスが必要とされています。

参考:Weblio英和辞典

参考:レジリエンスとは(コトバンク)

レジリエントとは?

レジリエントとはレジリエンスがある状態。すなわち柔軟でさまざまな困難にもしなやかに適応しているさまを表します。「レジリエントな人」と形容される人は、レジリエンス力が高くさまざまな困難に直面してもしなやかに適応し、精神的に困難を乗り越えることができる人のことを指します。

皆さんもレジリエンスを高めて、レジリエントな人を目指して人生を柔軟な思考でしなやかに生きていきましょう。

参考:【レジリエンス】定義と意味についてのわかりやすい解説(レジリエントメディカル より安全な医療システムを実現する)

レジリエンス力がある人の特徴

さまざまな困難にも柔軟に適応し、しなやかに生きていくために役立つのがレジリエンス力です。レジリエンス力が高い人にはいくつかの特徴があります。レジリエンス力がある人の特徴を参考にして、皆さんもレジリエンス力を高めていきましょう。さっそく、どのような特徴があるのか見ていきます。

1.様々な視点で考えることができる

ものごとをいろいろな視点から見て考えることができるという特徴があります。ひとつの思考にとらわれず、いくつもの可能性や選択肢を考えることができます。

人は自分の考えに固執してしまうと視野が狭くなり、柔軟に考えることができなくなってしまいがちです。

しかしレジリエンス力が高い人ほど自分の考えにとらわれず、他人から見たらどう思うか違う視点から考えられるので、さまざまな困難にも柔軟に適応することができるのです。

2.周囲の人に優しくできる

レジリエンス力がある人は、自分のことよりも周りの人のことを考えて行動することができます。余裕があり、周りの人に優しくすることができるので、回りまわって自分にも優しくしてくれる人が増える好循環な環境を作ることができます。

自己中心的な言動が多い人には仲間になってくれる人は集まりませんが、いつも周りの人のことを考え優しく接することができる人には、自然と仲間が集まります。

3.逆境に立ち向かう能力が高い

レジリエンス力がある人は、逆境に立たされても逃げずに立ち向かうことができます。レジリエンス力が高い人は困難に直面しても柔軟に考えることができるので、最初から諦めることはせず、さまざまな視点から状況を見て行動することができます。

そして困難な状況に対応する経験を重ねることで、逆境になっても立ち向かう自信と勇気を持っています。

4.協調性がある

レジリエンス力が高い人はたくさんの仲間を味方につけることができます。たとえ1人では立ち向かえない困難に直面しても、周りの人に助けを求め協力を得ることで困難を乗り越えられます。

また周りの人が困難に直面しているときには自ら協力し、その人の助けになるよう尽力します。他人を大切にするからこそ自分も大切にされることを知っているのです。

5.自分なりのストレス発散法を持っている

人は少なからずストレスを感じて生きています。レジリエンス力が高い人は日々のストレスを溜めない工夫をしています。ストレスは目に見えないので見て見ぬふりをしていると、少しずつたまってしまい気付いたときには手遅れでメンタルダウンしてしまうこともあるでしょう。

しかし、レジリエンス力が高い人はストレスを溜めないために適度なストレス発散法を持っています。日々の生活の中で負担なく自然とできる自分をリラックスさせる方法をいくつか持っていて、少しでもストレスを感じたときには自然とリラックスするための行動をとっています。

6.気持ちを切り替えることが得意

レジリエンス力が高い人は、その日のストレスを持ち越さないように気持ちを切り替えることができます。

例えば嫌な出来事があったとき、その瞬間は感情が大きく揺さぶられることもあるでしょう。怒りや悲しみなどネガティブな感情ほど後まで引きずってしまいがちです。

しかしネガティブな感情を引きずっていても自分自身へのメリットはありません。負の感情を引きずらずに気持ちを切り替えることができるのも、レジリエンス力が高い人の特徴と言えるでしょう。

例えば嫌な出来事があったとき、その瞬間は感情が大きく揺さぶることもあるでしょう。怒りや悲しみなどネガティブな感情ほど後まで引きずってしまいがちです。

しかしネガティブな感情を引きずっていても自分自身のメリットはありません。負の感情を引きずらずに気持ちを切り替えることができるのもレジリエンス力が高い人の特徴と言えるでしょう。

レジリエンスの効果とは?

レジリエンスの効果とはずばり、しなやかで柔軟な対応ができる「折れない心」を作ることです。「折れない」とは決して強靭なという意味ではありません。何事にも動じずどれだけ厳しい環境でも耐え抜く強靭な心を持っていても限界を超えてしまうと「ポッキリ」と折れてしまいます。

レジリエンスの強みは「強靭な心よりも柔軟な心」をつくることにあります。釣り竿をイメージしてみてください。大物がかかって竿がしなるときに柔軟な素材でなければ限界値を超えた途端にポキッと折れてしまうでしょう。しかし柔軟に力を受けとめれば、そう簡単に折れることはありません。

人の心も同じように、困難に立ち向かうときに強靭な意思や心で挑むより、柔軟な思考でしなやかに対応することで大きな困難も乗り越えられるのです。

レジリエンス力を高める方法

皆さんも人生をしなやかに生きていくためにレジリエンス力を高めたいと思いませんか。ここではいくつかレジリエンス力を高めるための方法をお伝えします。普段の生活の中で少し意識して取り入れることで、少しずつでもレジリエンス力を高めることができるのでぜひ参考に実践してみてください。

1.躓いた時は、視点を変えてみる

人生の中でさまざまな困難にぶつかることもあるでしょう。ときには失敗して躓くことも。しかし失敗した時こそレジリエンス力を高めるチャンスです。冷静に「なぜ躓いたのか」「何が上手くいかなかったのか」自分の主観だけでなく客観的な視点で振り返ってみましょう。

失敗から学ぶことはたくさんありますが、自分自身の視点だけではなく相手の視点や第三者の視点など、少し状況を俯瞰して見ると違った見え方ができるものです。

2.自分なりのストレス解消法を探す

レジリエンス力が高い人は日々のストレスを上手くコントロールしています。ストレスは意識して解消しないと少しずつたまってしまい、気が付いたときには深刻な状態になることも。

ストレス解消法と言われると、「何かすごいことをしなければ」と思う人もいるかもしれません。ですがそんなことはなく、毎日の生活の中で自然にできることでもストレスは解消できます。「好きな音楽を聴く」、「お気に入りのカップでコーヒーを飲む」など些細なことでも大丈夫です。

毎日の生活の中でリラックスして、ストレスから解放される時間を作ってみてはいかがでしょうか。

3.自分で自分を褒めてみる

「褒められて伸びるタイプ」の人はたくさんいると思いますが、意外と自分のことを自分で褒める自画自賛タイプの人は少ないのではないでしょうか。特に日本には謙遜が美徳とされる文化が古くからあり、無意識のうちに謙遜してしまうこともあるでしょう。

これは自尊心や自己肯定感が低い人によく見られます。自分に厳しいことはストイックで良いことのように思われるかもしれません。ですが、自分のこともしっかりと褒めてあげてください。想像以上に効果があります。

4.まずは自分自身に優しくなる

周囲から助けてもらえることもレジリエンス力のひとつです。周囲から助けてもらえる人は、自分も率先して周りに優しく接し、困っている人を助けています。周りの人に優しくできるひとは自分自身にも優しさを持っています。

しかし自分自身を犠牲にして奉仕の精神ばかりでは疲弊してしまいます。自分に優しくできる人こそ他人にも優しくできるのです。周りの人を優しく助けることができる人になるために、まずは自分自身にも優しくなりましょう。

5.変わらない状況を無理に変えようとしない

困難に直面してなかなか打開できないときもあるでしょう。何をしても上手くいかず心が折れてしまいそうになることもあるかもしれません。そんなときに無理やり状況を変えようとすると、無茶な行動や考え方をしてしまい失敗することが多いです。

レジリエンス力を高めて柔軟に適応するためには、焦らず落ち着いて状況を俯瞰して見つめ直してみてください。焦って周りが見えなくなっているときには気付かなかったことやもっと柔軟に考えることができるでしょう。大変なときこそ、一旦立ち止まる勇気をもちましょう。

6.心身ともにケアすることを忘れない

1番大切なことは、心と身体の健康です。身体が健康でなければ心も乱れますし、心が元気なくなると身体にも影響がでてしまいます。

健康は急に変えることができるものではありません。日々の生活習慣が大切です。食事、睡眠、運動どれもバランスよく気をつけることを心がけましょう。

立ち直る力を身につけて、しなやかに生きよう!

現代社会で生きていくうえで、ストレスから逃れることはなかなか難しいものです。困難に直面して躓くこともあるかもしれません。失敗して落ち込んでしまうこともあるでしょう。そんなときでも、心が折れてしまわないように普段からレジリエンス力を高めておけば、困難な状況でも柔軟に適応することができます。

ひとつの考え方や自分自身のこだわりに執着していては、直面した困難を乗り越えることが難しい場合もあるかもしれません。そんな場面でも、柔軟な考え方をして適応するためにレジリエンス力を身に付けていきましょう。

※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。

心理師Shingo

心理師Shingo

公認心理師(カウンセラー)。障がい者就労支援のプロ。現在鎌倉市で障害福祉サービスの就労移行支援事業所「就職予備校」の管理者。 今まで支援で関わった人は 100 名以上。

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